2022年度 公開研究授業 実施報告
公開研究授業は、「教員養成大学は、教育委員会等の教員養成についての要望をもっと反映させよ」という文部科学省の施策を先取りするものとしてはじめられ、今年で第10回を迎えました。コロナ禍への対応のために一昨年度、昨年度は開催を見送り、今回は3年ぶりの開催となりました。全寮制や1年次からの学校現場研修など本学部が行ってきた特色ある教育の成果を、4年生が公開授業という形で発表して評価を仰ぐとともに、教師を養成する大学と受け入れる教育委員会、各学校とが交流し、教育プログラムの改善に資することを目的としています。
この教育活動は千葉県ならびに近隣6市の教育委員会から後援をいただき、4年生の代表7名が中学生と高校生を対象に公開授業を実施。研究協議では参加者から活発な意見が出され、最後に、千葉県教育委員会の指導主事の先生方から講評・助言をいただきました。
テーマ |
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生徒の気付きから『資質・能力』を育成する指導の工夫 ~ICTの活用を通して~ |
日 時 |
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2022年(令和4年)12月9日(金) |
会 場 |
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秀明大学学校教師学部附属秀明八千代中学校・秀明大学学校教師学部附属秀明八千代高等学校 |
後 援 |
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千葉県、八千代市・船橋市・佐倉市・習志野市・印西市・白井市 |
教科 | 指導学年 | 指導単元 | 授業者 | 助言者 |
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国語 | 中学3年 | 古典の世界に親しもう | 萩原 竜登 | 溝口 真先生 (千葉県教育庁教育振興部学習指導課 指導主事) |
社会 | 中学2年 | 安定する社会と諸産業の発達 | 吉田 就 | 宮川 祐一先生 (千葉県教育庁教育振興部学習指導課 指導主事) |
数学 | 中学2年 | 連立方程式の利用 | 御園生 広羽 | 髙木 正紀先生 (千葉県教育庁教育振興部学習指導課 指導主事) |
理科 | 中学1年 | 火山の形と性質 | 堀川 瑞希 | 関 孝史先生 (東葛飾教育事務所 指導主事) |
英語 | 中学3年 | 受け身 | 平田 一真 | 八代 英紀先生 (北総教育事務所 指導主事) |
保健 体育 | 高校1年 | 球技「バスケットボール」 | 相内 香凜 | 鈴木 洋志先生 (千葉県教育庁教育振興部保健体育課 指導主事) |
道徳 | 中学1年 | 相手の立場を大切に「言葉の向こうに」 | 荒井 千果 | 村田 正実先生 (千葉県教育庁教育振興部学習指導課 指導主事) |
参加者の感想
- 明るい声でハキハキと話し、座席表を見ながら名前を呼んでいた。とても明るい雰囲気で授業が進められていた。
- PowerPoint、紙板書、手書きを併用し、授業が終了した後、この1時間で何をしたのか、何をねらいとしてどのような流れだったのかを残そうとしていた。
- 授業の流れ、ポイントを押さえることによって、見通しをもつことができていた。
- 実物に触れることで、五感で感じる授業が展開できていた。
- 生徒の目線に立ち、対話ができていた
- 問題をただ解くのではなく、学習問題を提示し授業の疑問点を明確にすることは、生徒の考える原動力になる。
- どのような生徒に育ってほしいのかを優先すると、授業準備は通過点である。なによりも準備を楽しむことが大切。
- 目標をしっかりもたせていた。
- 答える生徒が限られていたため、発言人数を増やしたり発言自体を促したり机間指導の声かけ以外に心がけたほうが良い
- 教員がお手本を一方的に行うのではなく、生徒にも行わせることで、より理解を深めることができていた。
国語
授業者の感想
授業者に選ばれたときは、「自分の将来のためになる」や「頑張ろう」という気持ちよりも、不安の方が大きかったです。入ったこともない教室で、多くの学生や先生方に囲まれ、話したこともない生徒に向けて授業をするのは初めてであり、自分にこの役目が務まるのかと悩んだときもありました。それでも、学習指導案や紙板書の作成など、授業の準備で苦しいときに仲間に助けられ、励まされました。
授業日には、これまで学んできたことや準備してきたことを発揮するだけと考えていましたが、そのまま上手く進むことはなく、臨機応変に授業を展開することや、生徒たちの実態に沿った発問や指示、説明をすることの難しさを実感しました。しかし、そのような中でも、自分なりに楽しみながら自信をもって授業をすることができたと思います。
社会
授業者の感想
今回の研究授業では、一つの授業を作りあげ、実施する大変さを改めて実感するとともに、実際の教育現場での経験の積み重ねの重要性を学ぶことができた良い機会となりました。また、チームティーチングをサポートしてくれた学生をはじめ、授業を参観した学生も学び続けることの大切さを実感したことと思います。
研究授業をよりよいものにしようと、指導案作成や授業構想において、社会専修の学生同士で、これまでの教育実習等の経験から意見を出し合いました。特に、学生を生徒に見立てて行った模擬授業を通して、授業の進め方において、より細かな配慮が必要であることや、授業全体の時間配分を考え直すなど、授業の熟度を高めることができました。
数学
授業者の感想
今回の授業題材は、連立三元一次方程式でした。中学2年では、連立二元一次方程式までしか扱いませんが、文字の種類が増えても「文字を消去していく」という考え方は同じであるため、そこを生徒に気づいてほしいと思い授業を構成しました。導入で「ここはどこでしょう」のクイズを出したり、クイズから本時の素材につなげたりして、本時の素材を身近な生活と関連付けさせたことは良かった点だと思います。しかし、その後の問題文から式をつくるところに時間をかけすぎてしまいました。連立方程式の解き方を考えさせる場面では、色紙と符号、お金の教具を配り、班ごとに実際に操作し考える時間をつくりました。最初はどうすればよいか分からなく手が止まっていた生徒も、使い方を教えると、色紙をいろいろと動かしながら考えており、生徒の多様な考え方、気づきに触れることができました。
理科
授業者の感想
今回の公開研究授業では、「火山の形とマグマの性質」を題材とし「地理院地図」と「Jamboard」を活用した授業を行いました。
研究授業を終えて最も印象に残っているのは、「授業規律の大切さ」です。
授業の目標や生徒の実態に合わせて ICT の活用方法を考える必要があると分かりました。今回の公開研究授業とご指導いただいた内容を、今後教員として生徒・学級に関わる際に生かしていきたいと思います。
英語
授業者の感想
今回、授業づくりに際して、「生徒の気づきから『資質・能力』を育成する指導の工夫~ICTの活用を通して~」というテーマを実践するために、どのような授業構成や工夫が必要であるかを考えました。その中で、ICT活用の観点から、視覚的に授業を分かりやすくするため、Power Pointを導入しました。資料を作成する際には、スライド1枚あたりの情報量を可能な限り少なくしたり、授業で設定した場面の様子が視覚・聴覚の両方で分かりやすくなるよう、アニメ-ションや効果音を設定したりしました。これらの工夫点は、授業での生徒の肯定的な反応につながったため、今後の授業実践においても意識していくべき点であると考えます。
保健体育
授業者の感想
専修の代表として公開研究授業を行わせていただき、貴重な経験を味わえることに嬉しさを感じつつも、そのプレッシャーから不安や緊張と闘う日々が辛いこともありました。しかし、お忙しい中授業についてご指導や対応をしてくださった先生や、授業内容について一緒に考えてくれた専修の仲間、授業の場や練習の時間をつくってくださった秀明八千代の先生方など、周囲の皆さんの協力があったおかげで乗り越えることができたと強く感じました。この経験を通して、多くの課題と向き合える機会があることの喜びや、周囲に頼ることの大切さを実感し、また一つ新しい学びを得ることができました。この経験を原動力に、来年度に向けて準備をしていきたいと思います。
初等コース(道徳教育)
授業者の感想
「生徒の気付きから『資質・能力』を育成する指導の工夫 〜ICTの活用を通して〜」というテーマの中、授業を創りあげました。その中で、「不易と流行」について、考えさせられました。学ぶ環境や、社会は変わり続ける中、人が誰かを思いやる心や人間性、道徳心、コミュニケーションなど、どんな時代であろうと変わらず、大切なものもあります。将来を生きる子どもたちに教師として何を伝えることができるか、どんなことを考えさせられるかと、自分に問いただしながら、その時代に合った教育を、変わらぬ教育的愛情をもって伝えていきたいと思います。
公開研究授業 アーカイブ
※2020、2021年度は新型コロナウイルス感染防止のため中止しました。